八木澤くんは不器用に想う
「おやつにさきいかって。オヤジくさい」
「文句があるなら食べないでくださーい」
「食べますー!」
さきいかにケチをつける莉乃。
最近、東雲くんは私が持ってくるお菓子(?)を誰よりも食べる。
テストのお礼の時は、あんなに遠慮してたのにね。
「東雲くん、八木澤くんが柳さんに取られて、拗ねてやけ食い?」
「はぁ?……まぁ、そうだけど。
俺よりもっと、拗ねてる子がいるじゃん」
東雲くんはさきいかを咥えながら、
上目遣いで私をチラッと私を見た。
「……?」
「安木さん。
……俺が持ってきたポテトチップスは?」
「……へ?」
そういえば、今日は東雲くんもお菓子を持ってきてくれて…
そしてそのポテトチップスは、
……私の右手に。
「うわ!
ごめん独り占めしてた…!」