八木澤くんは不器用に想う



完全に無意識…ごめん東雲くん。




「……怜央が相手してくれなくて寂しいのは、安木さんでしょ?」



「……そりゃあ…ちょっとは寂しいデスヨ」



「ふざけて誤魔化さないの。
“ちょっと”じゃないだろ?」



「……わかんない」



「わかんないって…自分のことなのに?」




東雲くんの言葉に


即答出来なかった。



……だって、本当にわかんないんだもん。



八木澤くんは


ただ幼なじみの子と再会して


私よりそっちを優先しがちになっただけ。



私はまだ、八木澤くんに出会ってから半年くらいしか経ってない、ただの“クラスメイト”で。


あっちは数年前から知り合ってる、“幼なじみ”なんだし。



比べる方がおかしいんだもん。



当たり前のことなのに、寂しいと思うのは、変だもん。



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