八木澤くんは不器用に想う



「なーんで意地張っちゃうの」



「……だよねぇー…」




東雲くんに、呆れたようなため息を吐かれて、


私も同じように息を吐いて、額を机にゴン、とぶつけた。




「…頭ってどうやったら冷やせる?
痛いだけなんだけど」



「……バカな安木さんには無理じゃない?」



「たしかに」




東雲くんも莉乃も、私のことバカにして酷い。


……バカだからしょうがないけど。




「まず、嫌なら嫌ってハッキリ言えば?
『わかんない』で八木澤が行動変えてくれると思う?」



「それは…そうですけど…」




莉乃の言うことはごもっとも。



わかんないって言ったって、八木澤くんが柳さんといることをやめるわけない。



でも…


嫌って言ったら…ただのわがままだよ。




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