八木澤くんは不器用に想う



「……友達に優劣とかないもん。
私の方を優先する義務もないし…」



「じゃあ友達じゃなきゃいいじゃん」



「……へ?」



「八木澤の“彼女”になっちゃえば?」




………は?




「莉乃氏…なにを言うてんねん」




彼女って、恋人ってことだよね?


てことは、八木澤くんが私の彼氏になるということで…



……それは、えっと…




「違うと、思う」



「どうして?」



「だ、だって…」




彼氏とか彼女って、す、好きだからなるんじゃないの?



私は好きじゃないし、八木澤くんもそんなつもり全然ないだろうし…。




「初はさ、八木澤とは始まらないって思ってる?」



「え?は、始まるって?」



「恋だよ、恋!」




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