八木澤くんは不器用に想う
───嘘つき。
ぎゅっとスマホを握ったら、スマホが振動する。
画面に、八木澤くんって文字。
さっき途中で切ったから、怒ってる?
でも、怒りたいのはこっちだよ…。
スマホの電源を落として、着信拒否。
真っ暗になった画面に、私の顔が映る。
あーあ。私、ひどい顔。
なんで柳さんの方に行くのって、嫉妬してる、醜い顔。
こんな顔、誰にも見せられな…
「オネーサン。こんなとこで一人?」
ベンチに座る私の前に、誰かが立った気配。
このまま顔あげたら、ひどい顔晒しちゃう。
俯いて無視してたら、
目の前に缶コーヒーを突き出された。