八木澤くんは不器用に想う




───嘘つき。



ぎゅっとスマホを握ったら、スマホが振動する。


画面に、八木澤くんって文字。



さっき途中で切ったから、怒ってる?



でも、怒りたいのはこっちだよ…。



スマホの電源を落として、着信拒否。


真っ暗になった画面に、私の顔が映る。



あーあ。私、ひどい顔。



なんで柳さんの方に行くのって、嫉妬してる、醜い顔。


こんな顔、誰にも見せられな…




「オネーサン。こんなとこで一人?」




ベンチに座る私の前に、誰かが立った気配。



このまま顔あげたら、ひどい顔晒しちゃう。



俯いて無視してたら、


目の前に缶コーヒーを突き出された。





< 149 / 286 >

この作品をシェア

pagetop