八木澤くんは不器用に想う
*支えてくれた人
「ちょっと濡れちゃったね」
「これくらい平気」
「風邪ひかないようにね」
雨が降り始めたら、私が約束を破ってずっと公園にいないように、東雲くんが家まで送ってくれて。
傘は持ってたけど、小雨だったから帰るまで傘は差さなかった。
東雲くんは傘を持ってなかったみたいで、ちょっとだけ濡れてしまっていた。
「……東雲くん、ありがとう」
「……なにが?」
「お祭りの時もだけど、
一人で心細い時、東雲くんが来てくれたから、明るい気持ちで帰れた。
……今日もそう。
一緒にいてくれて、嬉しかった」
雨で濡れて、頬に貼り付いた髪を
東雲くんの指がそっと掬った。
「……誰にでもするわけじゃないから」
「え…」
「怜央が初ちゃんを傷つけるなら、
俺はもう遠慮しないし」