八木澤くんは不器用に想う





「ただいまー」



「おかえり。
早かったね」




お父さんはキッチンで洗い物をしてて、


その後ろを通って冷蔵庫を開けた。




「……雨降ってきたから、早めに解散したんだ」



「そうか。
ラーメンは美味しかった?」



「あー…お店混んでて、結局行くのやめたんだ。
それで、実は何も食べてなくて」




冷蔵庫に何かないかと探していたら


ラップがかかったお皿が入っていた。




「ん?
なにこれ?」



「あぁ。お昼にオムライスを作ったんだ。
上手く出来たから、初にも食べてほしくて初の分も作っちゃった」




えっ。すごい。


こうなること、予想してたみたいなタイミング。




「じゃあこれ、食べてもいい?」



「いいよ。
手洗ってからね」



「はーい」




< 157 / 286 >

この作品をシェア

pagetop