八木澤くんは不器用に想う
「ただいまー」
「おかえり。
早かったね」
お父さんはキッチンで洗い物をしてて、
その後ろを通って冷蔵庫を開けた。
「……雨降ってきたから、早めに解散したんだ」
「そうか。
ラーメンは美味しかった?」
「あー…お店混んでて、結局行くのやめたんだ。
それで、実は何も食べてなくて」
冷蔵庫に何かないかと探していたら
ラップがかかったお皿が入っていた。
「ん?
なにこれ?」
「あぁ。お昼にオムライスを作ったんだ。
上手く出来たから、初にも食べてほしくて初の分も作っちゃった」
えっ。すごい。
こうなること、予想してたみたいなタイミング。
「じゃあこれ、食べてもいい?」
「いいよ。
手洗ってからね」
「はーい」