八木澤くんは不器用に想う
手を洗ってる間に、お父さんがオムライスをレンジで温めてくれる。
私がダイニングの椅子に座ったら
お父さんが私の前にオムライスを置いてくれた。
「いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
私の前にお父さんが座って、私がオムライスを食べるところをじっと見ている。
「……食べにくいよ」
「気にせず食べなさい」
気にするってば…。
……もし、八木澤くんとラーメン屋さんに行ってたら
視線なんて気にせず食べれたかな。
……あ、でも
『お前ラーメン食うの下手』
そう言う八木澤くんを想像してしまった。
2人でラーメン屋に行ってたら、
麺を啜るのが下手な私を、隣で八木澤くんが意地悪に笑ってたんだろうか。