八木澤くんは不器用に想う





「……初!?
どうした!?」



「…え…」



「泣くくらい不味かったか…!?」




気付いたら、目から一粒、涙が落ちた。




「……あ…違う、よ。
……ちょっと、冷たいだけ」



「温め足りなかった!?
温め直すよ!」



「…いい。このまま食べる…っ」




中のご飯は、冷たかった。



でも、涙を流す私に何も言わず、


ただ優しく頭を撫でてくれたお父さんは、すごく温かかった。





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