八木澤くんは不器用に想う
「……安木、
また今度、一緒に行こう」
「……」
「や「初ちゃん」
まだ何か言いたそうに口を開いた八木澤くんの言葉を遮って、
東雲くんが私の名前を呼んでやってきて、ニコッと笑顔を向けた。
「おはよ」
「おはよう…東雲くん」
「…夜更かしでもした?
顔むくんでない?」
「むくんでるつもりはないんだけど」
「声もガラガラ。
喉飴あげるよ」
カバンから喉飴の袋を出して、オレンジ味の喉飴をくれて。
目の腫れを気にしたのか、頭をポンポンと優しく撫でてくれた。
「…っ、孝弥!」
「あ、怜央おはよう」
「おはようじゃなくて…!」
八木澤くんが何か言いたそうにしてるけど、
東雲くんは『何?』と冷たい声を発した。