八木澤くんは不器用に想う
東雲くんの手を引っ張って、教室を出た。
「初ちゃん、どうしたの?」
「いや…東雲くん機嫌悪そうだったから」
「あー…なんか、怜央の顔見たら怒りが沸々と…」
「昨日のことなら、気にしなくていいよ」
「なんで。
初ちゃんも怒ればいいのに」
「怒ってはない…けど」
多少は八木澤くんのことを無視してしまっている。冷たくしてる自覚もある。
というのは、怒ってるのと一緒だろうか…?
「目腫れてるのは、昨日のことが原因じゃ?」
「バレてる…」
「声ガラガラなのも。
泣いたんでしょ」
う゛…さすが東雲くん。鋭い。