八木澤くんは不器用に想う



「……東雲くんは、それでいいの?」



「なんで?」



「八木澤くんのこと、大事じゃないの?」




このままあんな険悪ムードが続いたら…


友達に戻れなくなってしまうかもしれないよ…。




「……大事だよ。
一緒にいて心地いいのは、やっぱ怜央が一番だし」



「じゃあ考え直し…」



「でも、それより、
守りたいものが出来ちゃったんだよ」




東雲くんの手がこっちに伸びてくる。



それが私の頭に乗ると、少し額に触れた部分が冷たくて気持ち良かった。




「……!」




すると東雲くんがビックリしたような顔をして


『ちょっと待ってて』と言ってどこかに走っていく。




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