八木澤くんは不器用に想う
言われた通りちょっと待ってたら、東雲くんが戻ってきて。
私の額に冷たい何かが触れた。
「東雲くん…?」
「これ、あげる。
しっかり水分取って。
喉飴もあげる」
東雲くんがくれたのは、スポーツドリンク。
なぜ?と思っていたら、
スカートのポケットにずぼっと手を入れてきた。
「ひぇっ!!えっち!!」
「喉飴入れたの。
まぁえっちですけど」
「喉飴…」
さっきももらったのに。
ポケットの中を確認したら、4個ほど飴が入っていた。
「こんなにいらない…」
「いいから舐めとけ。
あと、今日はできる限り人と話さないようにすること。体力使うようなことはなるべくしない。わかった?」
私の手にスポーツドリンクを持たせると、マスクの上から私の頬をつねった。
東雲くん…お母さんみたい。