八木澤くんは不器用に想う
*たった一人も笑顔にできない
普段通りの授業。
の、はずなのに。
なんか頭ふわふわしてきた…
瞼も重いような…っていうか重い。
もうすぐ授業の終わるチャイムがなる。
それまで…我慢…。
「……安木?
眠いの?」
「……」
隣から呼ばれたけど、無視だ。
なんだか頭が痛くなってきて、額に手を置く。
……ん?
気のせいか、熱い気がする。
息をするのも苦しい。マスクしてるせいかな。
……ちょっとの間、横になりたいな…。
そう思って少し目を閉じたら、授業の終わりのチャイムが響いた。
「号令ー」
「起立」
日直の指示が聞こえて、立ち上がる。
その時ぐにゃりと視界がまわる感じがして、足がフラついたけど踏ん張った。