八木澤くんは不器用に想う
ぎゅうっと俺の腕に抱きついて、離さない花奈実。
さすがに身動きがとれなくて、はぁ、とため息をついた。
「……いつ具合が悪くなるかわかんなくて不安なら、
保健室行くか?」
「いいよ、そこまでは。
怜央がいれば大丈夫」
「いや、俺が保健室に用があるから」
そう言ったら
花奈実が目を丸くする。
「……なんで?
怜央、体調悪いの?」
「いや、俺じゃなくて…」
「……わかった。
あたしも保健室についていく」
花奈実の目が、冷たく、鋭くなった気がした。
……気のせい…か?