八木澤くんは不器用に想う
保健室まで来て、保健室のドアをゆっくり開けた。
「……先生いないね」
「……」
花奈実の言う通り、先生はいない。
でも、一つだけカーテンが閉まってるベッドがある。
引き寄せられるようにそこへ真っ直ぐ歩いて、カーテンを開いた。
「………孝弥」
「………」
ベッドの傍に座る孝弥と目が合った。
ベッドには、目を閉じて眠っている安木。
「……孝弥、何もしてない、よな…?」
「何もってなに?
俺が何かしてたら悪いの?」
「………」
安木が、昨日のことを怒って俺に冷たかったのはわかる。
でも、なんで孝弥まで、機嫌悪いんだよ。