八木澤くんは不器用に想う



「怜央?どこ行くの?」



「……飯食べる気失せた」




はぁ、と息を吐いて、A組の教室に戻った。






「八木澤」




教室に戻ったら、岡部が不安そうな顔で話しかけてきた。




「初、どうかしたの?」



「……体調悪いみたい。
熱あるっぽかったし」



「そうだったんだ…。
保健室連れてってたの?」



「いや…連れてったのは俺じゃなくて」




……俺が、連れて行きたかったのに。


俺が先に、安木の体調が悪いことに気付いたのに。


……俺が先に、安木のこと好きになったのに…。




「……なんで…」



「八木澤?
どしたの?」



「……」




なんで俺は


後悔ばっかりしてんだろ。




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