八木澤くんは不器用に想う
*優先順位
*初side
「……ん…」
自分の唸り声で、パッと目が覚めた。
……あ、ここ、保健室?
まだ眠いなぁって思ってもう一度目を閉じようとした時、
カーテンがシャッと開いた。
「安木さん、起きた?」
「あっ、はい」
「もう放課後だけど、家まで帰れる?
無理なら親御さんに連絡するか、先生が送るけど…」
……放課後?
窓から入る日差しは、夕焼けの赤さだった。
……結構寝てたんだ、私。
午後の授業、サボっちゃった。
「いえ、大丈夫です。
一人で帰れます」
「一人で帰れなんて言ってないわよ。
歩けるなら、同じクラスの八木澤くんが送ってくれるって」
……八木澤くんが?