八木澤くんは不器用に想う
「どうして八木澤くんが…?」
「お昼休みが終わる頃に、言いに来たの。
安木さんの具合見て、帰るなら俺が送るって」
「……そう、ですか」
……なんで、そんなこと。
昨日の罪滅ぼしのつもりだろうか?
「……それで、八木澤くんは…?」
「……それが…」
先生が何か言いかけた時、
ガラガラ、と保健室のドアが開く音がした。
「先生、安木さん起きた?」
「今起きたところよ。
どうしたの?」
「安木さん、俺が送るから」
ベッドをおりようとしていた私の前に現れたのは、
八木澤くん…ではなく。
「初ちゃん、歩ける?」
「東雲くん…」
「送るよ」