八木澤くんは不器用に想う
「あぁお母さん…
初が大人になってしまったよ…」
リビングのテレビの横に立ててある家族写真を見つめながら、お父さんはしくしくと泣いてるフリをする。
もう…本当に面倒くさい。
お父さんがこんなに過保護になったのは、お母さんが亡くなってから。
お母さんが亡くなったのは、私が小学4年生の時。
亡くなったお母さんの代わりに、お父さんが私のことを大切に大切に扱ってるわけだ。
お父さんが私を大事にしてくれてるのはわかる。
だから「門限6時は早すぎる」とは言ってるけど、結局いつも6時までに帰るのは目標にしてる。
高校に通えるのだって、お父さんのおかげだし
あんまり強くは言えないんだ。