八木澤くんは不器用に想う
*割れた消しゴム
*初side
「……」
「……初ちゃん」
「……」
「……いいの?抵抗しなくて」
至近距離で聞こえた声に、
ゆっくり目を開けた。
「……て、抵抗って…」
東雲くん…もしかして
キス、とか…するつもりだった?
「……わかってるでしょ。
俺が“そういうこと”平気でしてきた人間だって」
「…あ…」
「突き飛ばすくらいしないとダメじゃん。
危機管理能力が足りないんじゃない」
フッと笑った東雲くんは、
私から離れて、椅子から立ち上がった。
……突き飛ばすくらいって…。
私に背を向ける東雲くんに、「あの」って声をかけた。