八木澤くんは不器用に想う



よりにもよって、八木澤くん側に落としてしまった。



拾っていたら、八木澤くんが椅子をひくのがわかって。




「……なにやってんだよ、バカ」




いつもみたいに意地悪を言いながら、転がったペンを拾ってくれた。




「……ありがとう」



「………」




……あれ。八木澤くんと、どうやって話してたっけ。



最近無視してばっかりで、ちゃんと会話、してこなかった。



ちんたらやってる私に、「鈍くさ…」と呟きながら拾ったペンをどんどん私の机に置いてくれる。



落ちた時に遠くの方に転がってしまっていた消しゴムにも気付いて、八木澤くんがそれを拾ってくれた。




「あ…それ私の」



「………知ってる」





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