八木澤くんは不器用に想う





「日誌、何書けばいいかわかんない…」




放課後になって、教室で日直日誌を開きながら頭を抱えた。



今日日直だったのは、当番だから仕方ないとして…。


今日、ほとんど授業聞いてなかった。いや、いつもだけど。



授業の感想?…『むずかしかった』とかでいいか。



授業の感想欄全部、『むずかしかった』と書いて、下にある『本日の出来事』欄を見た。



今日、何かあったっけ?と振り返っていたら、あることを思い出した。




…そういえば今日、昼休みに柳さん来なかったな…。


八木澤くんも、ずっとA組の教室にいたし。



柳さんは昨日、東雲くんと揉めたこともあって、顔出しにくかったのかなとも思ったけど、


八木澤くんも会いにいってたわけじゃなかったし…




昨日の放課後、2人の間に何かあったのかな…。



もう学校で会わなくても、家で会えるじゃん!とか


そんな関係に、なってたりして…。




パタンと日誌を閉じて、もう誰もいない教室を出た。





< 220 / 286 >

この作品をシェア

pagetop