八木澤くんは不器用に想う




「うわ、すごい雨」




日誌を出す為に職員室に寄ってから玄関に向かっていたら、


外はザーザーと音を立てて雨が降っていた。



朝は晴れてたのにな…。


今日、傘持ってない…。



ずぶ濡れになるのを覚悟して靴を履き替え、


外に出て、空を見上げていたら。




「……遅い」




隣から声がして、パッと反射的に振り返った。




「……え…」




……なんで、こんな時間までいるの?



びっくりする私と


真っ直ぐに私を見る、八木澤くんの視線が絡まった。





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