八木澤くんは不器用に想う
*一目惚れ
「……八木澤くん…」
「遅いから、雨本降りになっちまったじゃねーか」
「………」
それ、私のせいなの?
待っててなんて、頼んでないのに。
「……八木澤くんが勝手に待ってただけでしょ」
「……そうだけど」
あぁ…私また、可愛くない言い方。
八木澤くんの方を見れなくて、
「じゃあ私は帰るので」と雨の中に飛び出した。
「あ…っ、おい待て!」
雨の勢いが強くて、ものの数メートル走っただけでずぶ濡れになる。
家まで走ろうと思ったら、
後ろから腕を掴まれて、そのまま学校近くの公園へ連れて行かれた。
「ここ入るぞ」
雨宿りするためか、公園の遊具のトンネルの中に2人で入った。