八木澤くんは不器用に想う



「……雨、おさまるまで
少し、俺の話してもいい?」



「……おさまるかわかんないってば」



「おさまんなくても、
……俺の話、聞いてほしい」




……聞くだけなら、いいかな。


顔は隠したまま、わかったと答えた。







「……俺、ずっと好きな子がいて」



「……」



「最初に会った時に、一目惚れ。
でも、その子とは学校も違って
どこの学校の子なのかも、
名前も、連絡先も知らなかった」




これって


八木澤くんと柳さんの馴れ初めの話…?




「なんで、私にそんな話…」



「いいから聞いて」



「………」




八木澤くんが真剣な声で言うから、



本当は聞きたくないけど、黙って聞くことにした。




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