八木澤くんは不器用に想う
「……うん。
……それで、さ、
俺、高校受かって、やったって思って。
もしかしたら会えるんじゃないかって…入学式の日、すっげぇ楽しみで」
「……入学式で会えると思ってたの?」
転校してくると思ってたのに…?
「……自信はなかった。
1日しか見てなかった顔だし…会えなかった2ヶ月くらいの間に、だんだん顔もハッキリとは思い出せなくて…」
え?2ヶ月??
柳さんとは幼なじみなんだよね…?
何年とかの話じゃないの…?
「その子が高校デビューとかしてたら、俺気付けないかもって不安になって。
会えなかったらどうしよう、気付けなかったらどうしようって思ったら、楽しみだった高校生活も、なんか色褪せていく気がして…。
すごい不安な気持ちで、入学式を迎えた。
けどそんな不安、すぐ吹き飛んだよ」
八木澤くんの足が、私の足にトンッとぶつかった。
「見つけたんだ。俺が好きになった女の子。
ちゃんと見つけた。会えたんだ」
「……え…?」