八木澤くんは不器用に想う



どうしてって聞こうとしたら、




「っくしゅん」




八木澤くんが小さくくしゃみをした。




「……悪い、ちょっと体が冷えて」



「……じゃあ、うちに来る?」



「………え…」



「傘ないから、家までは濡れちゃうけど、
これだけ濡れてたら、これ以上濡れても変わんないだろうし…。
お風呂も貸すし、着替えも傘も貸すから」



「お風呂…着替え…」




八木澤くんが、はぁ〜…と深いため息をついた。




「……お、まえなぁ…
こんな状況でそんなこと言ったら、期待するだろ…」



「いいよ」



「………は?」



「……八木澤くんだから、いいんだもん」




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