八木澤くんは不器用に想う
*優しくしたい
「ちょっと待っててね、タオル持ってくる」
家に着いて、玄関に八木澤くんを待たせて急いでタオルを取りに行く。
雨でベタベタになって気持ち悪いのか、八木澤くんはカーディガンを脱いでいた。
「……!」
ああぅ…だめだめ!!
脱いでるシーンをガン見してる場合じゃないってば!タオルを取りに行かないと!
よこしまな気持ちを消すようにブンブンと首を振りながら洗面所の扉を開けた。
着替えは後でいいから、とりあえずタオル。
棚からタオルを出して、急いで玄関に戻った。
「八木澤くん、タオルです」
「ありがとう」
「着替え、お父さんのだけど…いい?」
「借りるのに文句言わねぇから」