八木澤くんは不器用に想う
タオルで髪を拭きながら、
チラッと上目遣いで私を見た。
「……安木も早く着替えないと、
また風邪ひくぞ」
「八木澤くんがシャワー浴びてる間に着替えるから大丈夫」
「……俺が先に借りていいの?」
「…わ、私が誘ったんだもん。
八木澤くんを優先するよ」
我ながら、大胆なことを提案したなって思って、恥ずかしくなる。
玄関に立たせたままなのも申し訳なくて、八木澤くんをお風呂場に案内した。
「シャンプーとか、
こっちに置いてあるのが私のだから、使いたかったら自由にどうぞ…!」
「……おう(安木が使ってるシャンプー…!?)」
「えっと…
着替えたら、濡れた制服はここの籠に入れてね。
シャワー浴びてる間に着替え持ってくるので」
「……ありがと(…業務連絡かよ)」