八木澤くんは不器用に想う
「バーカ」っていつもみたいに意地悪に言うけど、
頭撫でてくれる手つきは、優しい。
「……私の精一杯を、
夢とか言わないでください」
む、と唇を尖らせて、
夢じゃないよって伝えるために、八木澤くんを抱きしめた。
「……や、安木…。
嬉しいけど、ちょっと苦しい…」
「苦しいから、夢じゃないんだよ」
「……わかったから。
現実だって、わかってるから」
だからちょっと緩めてください…と苦しそうに言う八木澤くん。
言う通りにちょっと緩めたら、
今度は八木澤くんが強く抱きしめてきた。