八木澤くんは不器用に想う
*番外編
孝弥と莉乃
*莉乃side
「よー。
こんなところで時間潰し?」
中庭の芝生の上に横たわる東雲くんに、立ったまま声をかけた。
「岡部さん。
パンツ見えるよ」
「嘘つけ。
スパッツ履いてるわ」
「スパッツも見せるもんじゃないでしょ」
寝転んだまま、ぼーっと空を見る東雲くん。
その隣に、ストンと腰をおろした。
「教室にいたくないの?」
「……まーね」
東雲くんがこんなところで一人でいる理由は、なんとなくわかる。
どうせ、初と八木澤のことだろう。
「そんなにショックだった?
朝いきなり、『付き合うことになった』って言われたのが」
「……わかってて言うって、
岡部さんって鬼だよね」
「昔から人の不幸が好きなもので」