八木澤くんは不器用に想う
*そわそわの理由
*初side
翌朝。
仕事に出かけるお父さんを見送るために玄関に向かうと、
お父さんが『初』と私の名前を呼んだ。
「今日は帰りが遅くなるかもしれない」
「あーそう」
「だからと言って、男の子と遅くまで遊ばないでね」
ポンポン、と私の頭を撫でると、「行ってきます」と言って家を出ていった。
「……別に男の子と遊びませんけど」
昨日はたまたま誘われただけだし。
八木澤くんだってアイス食べたかっただけだろうし。
遅くまで遊んでくれる男の子なんていないです。