八木澤くんは不器用に想う
「いい性格してるわ…」
「東雲くんに言われたくはないかな」
風が吹いて、芝生が揺れる。
東雲くんが、はぁ…と息を吐いた。
「……わかってたんだよ。
怜央が初ちゃんを好きなことは」
「わかりやすいしね」
「初ちゃんが『消しゴムの女神』だってことも、知ってたから
応援するつもりだったんだ」
「消しゴムの女神?」
なにそれ?
「受験の時に消しゴム貸してくれた女の子なんだって。一目惚れだったらしー」
「へぇー。
結構前から初のこと好きだったんだね」
八木澤は、ただ出席番号が前後で、何かと隣になるからって理由で初が好きなんだと思ってた。
まさかそんな前から好きだったとは。