八木澤くんは不器用に想う



はぁ〜〜…と大きなため息が出る。



手に握った消しゴムを、じっと見つめた。




……これ、まだ全然使ってなかっただろうに。


俺のために、割ってくれたなんて。



親指で消しゴムを撫で、


何気なくひっくり返してみたら。




「……えっ!」




そこには平仮名で、「すき」と書いてあった。




「………!」




まじ!?



あの子も俺のこと…好きだったの?



じゃあなんで、先に帰っちゃうんだよ…。




もっといっぱい、話したかった…。




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