八木澤くんは不器用に想う
それから毎日、あの子のことを考えてた気がする。
気付けば合格発表の日になっていて、ドキドキしながら結果を見て。
自分の受験番号を見つけて、安心するのと同時に
あの子も受かってたら、高校生活を共に出来るんじゃないかと、期待が胸いっぱいに広がった。
*
そんな、高校生活への期待で胸がいっぱいの中、
中学の卒業式を迎えた。
「八木澤くん!」
「ん?」
「あの…っ
第二ボタン、ください…っ!」
「別にいいけど」
もう着ることのない制服。
なんで第二ボタンなんか欲しがるんだろ、と思いながら、
ぶちっとボタンを引きちぎった。