八木澤くんは不器用に想う




それから毎日、あの子のことを考えてた気がする。


気付けば合格発表の日になっていて、ドキドキしながら結果を見て。



自分の受験番号を見つけて、安心するのと同時に


あの子も受かってたら、高校生活を共に出来るんじゃないかと、期待が胸いっぱいに広がった。













そんな、高校生活への期待で胸がいっぱいの中、


中学の卒業式を迎えた。




「八木澤くん!」



「ん?」



「あの…っ
第二ボタン、ください…っ!」



「別にいいけど」




もう着ることのない制服。



なんで第二ボタンなんか欲しがるんだろ、と思いながら、


ぶちっとボタンを引きちぎった。




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