八木澤くんは不器用に想う
「ありがとう…!
大事にするね…!」
女の子は頭を下げて、走り去っていく。
……いや、別にボタンなんか大事にしなくても。
何気なくそう思った時、ふと、あの消しゴムのことを思い出した。
……俺にとっては、大事な消しゴムだけど…
もしかしてあの子にとっては、俺のボタンと同じように、誰かに譲っても気にしてないくらい、どうでもいいことなのかも。
だからあの日、すぐ帰っちゃった?
「すき」って、言い(?)逃げして、あの子は満足してるのかも。
こんな風に『また会いたい』って思ってるのは、俺だけなのかも…。