八木澤くんは不器用に想う
「勝手なこと言ってんじゃねーぞ腹黒女」
八木澤くんが莉乃を睨みつける。
莉乃はそれに動じることなく、ハッと鼻で笑った。
「えぇ〜あたしのどこが腹黒なのぉ?」
「その甘ったるい喋り方やめろぶりっ子。
似合わねぇんだよ」
「へっ。ヘタレ王子のくせに生意気」
「んだと…!」
莉乃と八木澤くんの間に火花が飛び散りそうなところで、
「まぁまぁ」と私が2人を宥めた。なんて優しいんだ私。
「『デートじゃない』なんて言って、
意識してほしいのかほしくないのか、どっちなのよ」
「は、はぁ!?
い、いし、意識って、なにが!?」
莉乃の発言に、顔を真っ赤にしながらどもる八木澤くん。
……この2人って、結構仲良いよなぁ。
たまに私には理解できない会話するんだもん。