八木澤くんは不器用に想う
莉乃に言い返してはいるけど、
八木澤くんはなんだかソワソワしてる。
「……や、」
「ん?」
「……安木がいいなら…
……勉強会してやってもいい」
「嫌なら八木澤は来なくていいよ。
いても役にたたないし」
「嫌って言ってねーだろ!
勝手に決めんな!」
まだ不機嫌そうな八木澤くんが、『おい』って私の方を見た。
「……安木は、いいの?」
「え?」
「……俺が安木の家行ってもいいのかって聞いてんだよ」
お父さんは、帰りが遅くなるのを心配してるだけだし、
うちで遊ぶのなら、いいかな?
「いいよ、来ても」
「えっ…!」
「東雲くんも来て、みんなで一緒に勉強会しようか」
そういえばもうすぐテストだし、ちょうどいいや。