八木澤くんは不器用に想う



東雲くんが八木澤くんから教科書を奪って、それを私に返してくれた。




「…ありがとう」



「わかんないとこあったら教えるから。
数学は読んでるだけじゃ身につかないよ」




隣で頬杖をついてそう言う東雲くんは、ニコッて笑ってるけどなにか黒い。


そして。




「そんなだからバカなんだよ」




トドメの一言に、私と八木澤くんがその場に倒れた。




「二人とも遊んでないで勉強しなよ」




莉乃にまで怒られる始末。ちぇっ。




「初も八木澤も、期末で赤点だったら夏休み補習だよ?わかってる?」



「特に遊ぶ予定もなかったので、
補習でもいいって思ってます」



「同じく(安木も補習なら夏休み会えるじゃん)」




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