八木澤くんは不器用に想う
「孝弥、俺もわかんないとこあんだけど」
「え、どこ?」
「ここ」
遮ってきたのは八木澤くんで、
私を押し退けて、私と東雲くんの間に割り込んできた。
……東雲くんに教えてもらうなら、わざわざこっち来ないで反対側から聞けばいいのに……
……あ。
私のこと邪魔者扱いですか?
「邪魔なら邪魔って言えばいいじゃん」
「は?」
「ふんっ」
八木澤くんが私のこと嫌いなのは知ってたけど
こんな強引に押し退けなくてもいいじゃん。
男の子の力には敵わないんだから、口で言ってくれればいいのに。