八木澤くんは不器用に想う
「安木、さっき…」
━━━ガチャ。
八木澤くんが何か言いかけた時、玄関の方から音がした。
「初ー。ただいまー」
「あ、お父さん帰ってきた」
玄関から声が聞こえて時計を見たら、もう7時になるところだった。
「初?
玄関に靴がたくさんあったけどお客さんでも…」
お父さんがリビングのドアを開けた瞬間、
ボスッとカバンを床に落とした。
「あ、初パパおかえりなさい。お邪魔してます」
「あぁ莉乃ちゃん、こんばんは…」
莉乃は前にうちに遊びに来たことがあるからお父さんも知ってる。
だから、今お父さんが固まってる原因は莉乃ではない。
「初…その男の子たちは…?」