八木澤くんは不器用に想う
莉乃の提案で、急いで広げたノートたちを片付ける。
その時、東雲くんが見覚えのないノートを私に渡してきた。
「安木さん、よかったら俺のノート使って」
「え…」
「教科書読むよりは、わかりやすいと思うから」
はい、と手渡しされたから、いらないとは言えなくて。
「……ありがとう」
お言葉に甘えて、東雲くんのノートを受け取った。
*
「じゃあね、初。お邪魔しました。
初パパにもまた来ますって言っといて」
「うん。
莉乃、気をつけて帰ってね」
「俺らが責任もって岡部さんのこと送るから心配しないで」