八木澤くんは不器用に想う
「え…孝弥?」
「こんな安いもので許しちゃうの?」
まわりの女の子たちが、東雲くんの肩を揺すった。
「別に見返りが欲しくて勉強教えてたわけじゃないから」
「え……」
東雲くんの発言がそんなにおかしいのか、固まってる女の子たち。
でも私は、東雲くんが優しいってことしか知らないから。
「やっぱり今度、東雲くんの好きなもの奢るね!」
東雲くんが女の子たちにどう思われてるか知らない私は、力強くそう言って自分の席に戻った。
「……まぁ、ご褒美って、
そういうことじゃなかったんだけどなぁ。
……はぁ、なんか調子狂う」