八木澤くんは不器用に想う
*
「赤点回避!やったじゃん初!」
「えっへん。
やれば出来る子なのよ私」
「すぐ調子乗って。
東雲くんのおかげでしょ」
「そっすね」
お昼ご飯を食べた後、チーズ味のじゃ○りこを莉乃と食べながらそんな話をする。
赤点回避できたのは、本当に紛れもなく東雲くんのおかげ。私一人じゃ無理だった。
やっぱりこんな、100円くらいのお菓子一つじゃ、全然お礼にならないよね。
「東雲くん、何あげたら喜ぶかな?」
「えー…東雲くんは…」
莉乃が、また女の子に囲まれてる東雲くんをチラッと見ると、
ふん、と呆れたように鼻を鳴らして。
「どうせ、キスとか言うんじゃない?」
「……キス?」
……魚の?