八木澤くんは不器用に想う
「東雲くんの“優しい”って、たぶん誰にでもやることだから」
「そうなんだ」
「騙されちゃダメだよ?」
騙されるって…
誰にでもすることだとしても、優しいことには変わりないんだけどな…。
「まぁ、八木澤よりは優しいよね」
「誰よりは優しいって?」
莉乃がポロッとこぼすと、それに反応する声が聞こえて、
それと同時に、頭に重みがやってきた。
「東雲くんは八木澤より優しいよねって言った」
「はー?
俺結構優しいですけど?」
『なー?安木』って上から聞こえて、思わずムッとした。
「人の頭を肘おきにする人が優しいわけないですー」
「アイス奢ってやるくらいには優しいだろ?」
「頼んでないし!」