八木澤くんは不器用に想う
「ところで八木澤、
あんたも赤点回避したんでしょ?」
「まぁね」
「じゃあ、夏休み遊べるね」
「……でも、
安木は遠出できないんだろ?」
「近所のお祭り行こうよ。
それなら初も大丈夫でしょ?」
莉乃の提案に、うん、って頷いた。
「祭りね…
行ってやってもいいけど」
「嫌なら来なくていいんだよ」
「嫌とは言ってねーだろ!
……そ、その……──…かた、とか」
「なに?
もごもご喋ってて聞こえない」
「ゆ、浴衣とか着てくんのかって聞いてんだよ!」
莉乃と話してたはずの八木澤くんが、何故か私の方を見ながらそう言った。
「……私に言ってる?」
「ど、どっちもだよ!!」
あ、莉乃のついでに気にしてくれただけか。