八木澤くんは不器用に想う
八木澤くんに手を握られたまま、人の流れに身を任せて進んでいく。
でも屋台がたくさんあるから途中でいい匂いがしてくるし、お腹空いてきちゃったな…。
私の手を引いて歩く八木澤くんは、全然こっちを見ないから、
ぎゅっと手に力を込めて、八木澤くんを引き止めた。
「…安木、どうした?」
「お、お腹空いてきちゃって…」
「なんか買うか。
何食いたい?」
「たこ焼き!」
「わかった」
八木澤くんと一緒に、近くに見えたたこ焼きの屋台へ向かう。
人混みに流されるかと思ったけど、八木澤くんが手を強く握ってくれてたから、はぐれずに済んだ。
やっぱり、手を繋いでてよかったかも…。