八木澤くんは不器用に想う
「すいません、たこ焼き2つください」
「はいよ!
お兄さん可愛い彼女連れてるね!」
「えっあ、……いや、まぁ」
たこ焼き屋のおじさんが何か言ってる。
……ん?彼女?
「八木澤くん、私彼女じゃないよ?」
「そう思われてんなら別にいいだろ。
いちいち否定すんのもめんどくせぇし」
「まぁ…そっか」
初対面のおじさんにどう思われてもいいしね。
「はいたこ焼き2つ!
サービスで安くしとくよ」
「ありがとうございます」
「彼女のこと幸せにしてやれよ!」
おじさんがハッハッハッと笑う。
いや…彼女じゃないんだけど…。
八木澤くんも困ってるかと思ってチラッと横を見たら、
八木澤くんは笑いながら、ペコ、とおじさんに会釈した。