八木澤くんは不器用に想う
八木澤くんも自分のたこ焼きを頬張って、『あつっ!』って声がする。
なんだか照れくさくなって、八木澤くんと視線が合わせられない。
黙々とたこ焼きを食べていたら、
八木澤くんが、ん゛んっと咳払いした。
「……あー…孝弥たちとはぐれちまったな」
「え、あぁ…そうだね」
この人混みから探すとなるとさすがに無理だ。
連絡して、どこかで待ち合わせた方がいい。
「莉乃にここに来てもらうように連絡…」
スマホを取り出して、莉乃に連絡しようとしたら
八木澤くんが私の手をぎゅっと握ってきた。
「……八木澤くん?」
「……もうちょっと」
「ん?」
「……もうちょっと、2人でいたいんだけど」