八木澤くんは不器用に想う



八木澤くんも自分のたこ焼きを頬張って、『あつっ!』って声がする。



なんだか照れくさくなって、八木澤くんと視線が合わせられない。



黙々とたこ焼きを食べていたら、


八木澤くんが、ん゛んっと咳払いした。




「……あー…孝弥たちとはぐれちまったな」



「え、あぁ…そうだね」




この人混みから探すとなるとさすがに無理だ。


連絡して、どこかで待ち合わせた方がいい。




「莉乃にここに来てもらうように連絡…」




スマホを取り出して、莉乃に連絡しようとしたら


八木澤くんが私の手をぎゅっと握ってきた。







「……八木澤くん?」



「……もうちょっと」



「ん?」



「……もうちょっと、2人でいたいんだけど」




< 87 / 286 >

この作品をシェア

pagetop